ドラマ最強のオンナは演技力最強の藤山直美と寺島しのぶが見どころ！

JINに半沢直樹にと、次から次へとドラマのマルチヒットを飛ばすTBSが、今回は女性を主人公にしたスペシャル企画を持ち出してきました。この他にも話題をさらうようなドラマはいくつも作られていますが、この作品は少々毛色が違うようです。

ベルリン映画賞で銀熊賞を獲得した女優と言えば、外人の旦那さんと仲むつまじい寺島しのぶさんです。このドラマの中では洋食屋の女社長（玲子）を演じています。夫が亡くなった後、洋食店を一人で切り盛りしてきたやり手です。店舗数１００を目指してかなりあこぎな商売をしていました。

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その相手をするのは、昭和の喜劇王との異名をとった彼の藤山寛美の一人娘である、藤山直美さんです。ドラマの中で、彼女は定職も家族も持たないプータロー（みどり）同然の生活を送っています。そして、ある日玲子の会社が募集した求人広告に応募します。

結果的には、年の離れた二人がささいなことにも衝突しながら、やがては固い友情で結ばれて行くと言った、ある意味ごくありふれたストーリーです。いくつか前の投稿でも書きましたが、日本を動かしたような人間の話しなら興味もありますが、おばさん二人の友情ごっこにはどうも触手が動きません。

などとは言わずに、ぜひこのドラマを見て下さい。なぜなら、藤山直美さんの演技は寺山しのぶさんを凌ぐほどに完成されています。私個人としては寺山さんよりも格段に上だと考えています。寺山さんほどの露出とチャンスがあれば、今頃は日本アカデミー賞の一つや二つは取っていてもおかしくないほどの実力者です。

このドラマではダブル主演となっていますが、むしろ難しいのは藤山さんの役でしょう。藤山さんがもう少し美人だったなら、プロデューサーは彼女を放っておかないはずです。ド下手でもからっきしの大根でも、ちょっと見た目がよければ役につけるのが日本の芸能界です。

藤山さんのお父さんは藤山寛美さんですが、喜劇王ばかりではなく借金王でもありました。彼のモットーは、宵越しの金を持たない、欲しいと言われた物はそれが何であれ与えるというものでした。舞台が引ければ毎晩のように豪遊していたそうです。「役者は遊ぶことで色気が出て来る」というのが彼の持論でした。

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それだけ遊び歩いた上に、請われればいくらでも祝儀を包むような生活を送っていたので、借金はただ膨らんで行くばかりでした。騙されたのも一度や二度ではありませんでしたが、それでも他人を悪くは言わなかったそうです。寛美さんがテレビで「藤山寛美３６００秒」や「松竹新喜劇」を行なっていたときでも、多額の負債を抱えて家族は離散寸前だったそうです。

しかし、亡くなる随分前にはその借金も払い終え、上方の芸人役者一同からはかなり尊敬されていたと聞いています。そんな役者を父に持つ直美さんです。そこいらの少しビジュアルが良くて業界のフィクサーに囲われているような女優とは違い、日常から演技を体に叩き込んできた役者です。なかなかの本物と呼べるでしょう。

TBS秋のドラマ特別企画「最強のオンナ」は、１０月５日（日）夜９時からの放送予定です。